映画マニアによる映画レビューブログ

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「海の上のピアニスト」

海の上のピアニストレビューです!

 

 手っ取り早く知りたい方は、「STORY」と「まとめ」に飛んでください

 

<STORY>

1900年、ダニーが「ヴァージニアン号」という名前の船の中で赤ん坊を見つける。1900(ナインティーン・ハンドレッド)と名付けられ、船の中でずっと過ごした彼は有名なピアニストへと成長する。彼は一度NYに上陸しようと決意するが、「都会には選択肢がありすぎて、頭が破裂しそうになる」と船へと引き返す。それからヴァージニアン号は老朽化し、ダイナマイトで爆破するところまで話が進んでいた。だが1900はずっと船の中に残っていた。親友のマックスが1900を陸に降ろそうとするが、降りない行動には理由があった。マックスは1900の理由を尊重し、最後の別れを告げる。こうして1900はずっと船と共に生き、船と共にこの世を去ったのである。

 

 

<登場人物>

船の上のピアニスト「ダニー・ブードマン・T・D・レモン1900」(ダニー・ブードマン・ティー・ディー・ナインティーンハンドレッド)」(ティム・ロス)

育ての親「ダニー・ブードマン」(ビル・ナン) 

親友のトランペット奏者「マックス・トゥーニー」(プルート・テイラー・ヴィンス)

初恋の人「少女」(メラニー・ティエリー)

 ジャズの発明者「ジェリー・ロール」(クラレンス)

 

ピアノの上に捨てられた赤ん坊

1900年。1日2000人を乗せてヨーロッパとアメリカを往復するヴァージニアン号という船があった。

そこの石炭場で働くダニー・ブードマンは、船内で「T・D・レモン」という木箱に捨てられた赤ん坊を見つける。一等のピアノの上に捨てられていた。ダニーはその子を「ダニー・ブードマン・T・D・レモン1900」(ダニー・ブードマン・ティー・ディー・ナインティーンハンドレッド)と名付ける。(以下1900と呼びます。)こうして、貧乏人ダニーは赤ん坊を育てると決めた。

1900は出生証明書、ビザも無いため船から下ろしたら取り上げられてしまう。それを心配したダニーは、船の外に行くことを禁止した。1900はずっとヴァージ二アン号の船底で過ごした。

1900は競馬の新聞を読んで言葉を覚えていった。1900はダニーに「ママって何?」と聞く。すると「ママは最強の競走馬サラブレッドだ。ママに賭けときゃ間違いない」とそう教える。

※蒸気船は石炭を使って動かす船こと。

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ダニーの事故死

石炭場でダニーの頭に、アンカー(いかり)が直撃してしまう。事故だった。3日間生きたが、そのまま亡くなってしまう。1900が競馬のシカゴの第6レース結果を伝えている時だった。

1900はその時8歳だった50回はヨーロッパとアメリカを往復。陸を歩いたことがない。国籍も誕生日も家族もない。法的には産まれてもいない。名前が記録されていない。だから外の世界から見れば、彼は存在していないも同然だった。

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1900の才能

ダニーが死んでから、1900は立入禁止されていた船底の外に出てしまう。そこにはカラフルなドレス、大勢の客、音楽など初めて見る光景が広がっていた。ひときわ1900が聞き入ったのがピアノの音だった。それから1900はたった一回聞いただけなのに、見事ピアノで一曲の曲を演奏する。その音色に船内にいた乗客みんなが聞き入っていた。

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マックス・トゥーニーと1900の出会い

マックスは24歳で、ヴァージニアン号のトランペット奏者として採用される。トランペットの腕は確かで、彼の演奏も人々を魅了するほどだった。初めは海上都市での生活にワクワクしていたが、ひどい船酔いに悩まされていた。

そこへタキシードを着た謎の男が話しかけてきた。「やぁ、コーン。まっすぐ歩けないのか?」

男はピアノの椅子に座るなり、「隣においで」と言う。

船の揺れに合わせて、ピアノが床を滑り動く。ピアノも踊っているかのように。見事なピアノ演奏に聞き入っていた。次第にマックスの船酔いはおさまり、軽快な音楽を楽しんでいた。

ピアノ弾きの謎の男は告白する。「27年間船を降りたことがない」と。

謎の男の正体は、1900だったのだ。

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船を降りない理由

1900と出会ってから、マックスは船上生活の毎日が楽しくなる。1900の奏でるピアノは本当に素晴らしく、そこにいる誰もが聞き入っていた。

彼は楽譜を見ないで演奏するので、マックスは「弾きながら何を考えている?」と聞いた。すると、「昨夜は美しい国に行った。」と答えた。想像力を使って、いつも世界中を旅しているという。

マックスは彼に船を降りない理由を聞いた。「なぜ、船を降りない?きっと誰もが君に夢中になって、有名になる。大金持ちになるぞ」

だが、1900は船を降りずにこう答える。「なぜか?を考えては他の人は時間を無駄にする。冬が来れば夏を楽しみにし、夏が来れば冬は二度と嫌だと思う。だから旅を続けるんだ。いつも遥か遠くにある常夏の場所を追い求めて。僕はそういうのは嫌いだ。」

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海の声

ある一人の帽子を被った男性が、1900の音楽に惚れたといって近づいてきた。

その男はずっと海を見たことがなく、村で一生を過ごすんだと思っていたという。

だが、畑がダメになり、女房には駆け落ちされ、5人の子供のうち4人が熱病で亡くなってしまう。末っ子の一人娘だけが生き残っていた。帽子を被った男はその子のために「運の悪さに負けず、行き先を決めず旅をしよう」と決意する。村を出て、あちこちを旅した。行き着いたある丘に登った。そこから初めて見る海の美しさに衝撃を受ける。そして「海の声」を聴いたという。海は「愚か者!お前の頭にはクソが詰まってるのか?人生は無限だ。それがわかってるのか?無限だ!」と言ったという。

それを聞いた男は頭の中で革命が起こり、「人生を変えよう!人生をやり直そう!」と思った。

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楽譜は頭の中にある

1900は鍵盤の王者と呼ばれていた。マックスは彼に「その音楽はどこから湧いてくる?」と聞いた。すると「わからない。あそこの女を見てみろ。若い愛人と夫を殺してきましたって顔をしている。そして、宝石を盗んで逃走中」「次はあっちの男だ。思い出から抜け出せない、そんな彼の曲だ。」「次はあの女。尼になることを考えている娼婦の女だ。」と次々に音階を変えて演奏する。まるで音楽プレーヤーみたいだ。全く異なる曲調を、好きなように自由に演奏していたのだ。

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秘密の電話

彼はみんなに内緒で、通信室に忍び込んでいた。本から適当に電話番号を調べ、電話をかけると女の人が出た。「あの、初めまして。しばらく僕と話をしてくれませんか?なんでもいいんです。お天気とか今日あったことでもいい」と言うが、イタズラ電話だと思われすぐ切られてしまう。

そこへ突然、ミュージシャンだと名乗る二人組の男が現れる。彼らは“「ジェリー・ロール」というジャズの発明者の伝言“を伝えに来たのだ。ジェリーは自分より上手いピアノの演奏者がいると聞いて、聞き捨てならなかった。だから1900に決闘を申し込むという訳である。1900は「なぜ彼は決闘がしたい?」と不思議がっていた。

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1900VSジェリーのピアノ対決

先行はジェリー。ジェリーの演奏の仕方は、鍵盤を愛撫しているかのようにかろやかだった。彼が初めてピアノを弾いたのはニューオーリンズの売春宿だった。弾き方を独自に覚え、2階で楽しんでいる客の気を散らさないように、流れるような音楽を心掛けた。そういう意味で彼の音楽は最高だった。演奏が終わって、会場は拍手喝采に包まれた。

ジェリーの演奏を聴いて1900は涙を流していた。陶酔し、「彼はすごい人だ」と称えた。

1900の演奏が始まった。1900はただ無心にピアノを弾いていた。たくさん汗を流しながら、素早く弾き奏でる。もはや、誰も聞いたことのないメロディだった。彼の中から溢れ出るメロディ。会場にいる皆が、あっけにとられ余韻に浸った。ジェリーも手に持っていたグラスを床に落としてしまうほどだった。素早い演奏でピアノ線が熱くなり、タバコをくっつけると火がついた。そのタバコをジェリーの口に咥えさせた。

この対決は1900の勝ちだった。

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↑ジェリー・ローズ

 

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初恋

レコード会社の商売人が1900の音楽を録音し、世に売り出そうと船まで会いに来ていた。1900は窓の外にいる一人の美しい少女を見ながら演奏した。彼は少女に恋をしていた。

商売人は「これを売り出せば、富も名声も手に入るぞ。いやなら一生船を降りなくてもいい。このレコードがあれば、世界中の人があなたの音楽を聴ける」という。だが1900は「僕の音楽は僕と一緒じゃなきゃ。」と言って録音したレコードを持って立ち去ってしまう。

1900はさっきの少女にレコードを渡そうとしていたが、勇気がなくて声をかけることができずにいた。だが、少女が他の人たちと会話をしているところをたまたま聞く。少女は「パパが海の声を聞いたって言ってた。でも何て言っていたかは秘密よ。」と言っていた。

そう、少女はあの“海の声”を聴いた男の娘だったのだ。

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キス

1900は女性船室に忍び込み、少女を探していた。ベッドで眠る彼女を見つけると、彼はそっとキスをした。少女にバレることはなかった。

少女が船から降りる日、1900はついに少女に話しかけることができた。

「お父さんに会いに行くんでしょ?お父さんにこの船で何年も前に会ったことがあります。アコーディオンを持っていた。一緒に演奏していました。僕を忘れているかもしれないけど、よろしくと伝えてください。」少女は「なぜ、私を知ってるの?」と聞いた。

彼は「だって秘密は守らなくちゃ」と答えた。人ごみに消えそうな少女に向かい「僕の音楽を受け取ってください。ささやかな贈り物を君に!」と言うが、声が小さくて少女には届かない。少女は「よかったら会いに来て!モット・ストリート27番地、父は魚屋をやっているの!」と言った。「行けたら・・・」そう答えた。

1900はそれからレコードを割ってゴミ箱に捨ててしまう。それから彼は一度も少女の話をしなくなった。

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船を降りると決断する

ある春の夜、1900はマックスにこう告げる。「3日後にニューヨークに着いたら、船を降りようと思う。丘で見たいのがある。海だよ。一度陸から見てみたい。海の声を聴きたいんだ。船の上からじゃ聴こえない。海の声とは例えれば、叫び声なんだ。それを聴けば生きていくために何をしたらいいか教えてくれる。このまま船に居たら、教えてくれない。僕は2,3年陸地で過ごしたら、普通の人間になれるだろう。みんなみたいに。そしてしばらくしたら海岸へ行って、海を見たら、声が聞こえる」

マックスは「君が海を降りたくなった本当の理由は、あの娘だろ。いい女と出会って結婚して、子供をもうける。無限の人生じゃないが、平凡でも価値がある人生になる。」そう言った。

―3日後、ニューヨークに着いた。1900は船から降りるための階段を下っていた。みんなに「頑張れよ!」と背中を押されて。だが彼は階段の途中まで行くと都会を前にして、立ち尽くしてしまう。そして、帽子を海に向かって投げ船に引き返した。彼は陸に降りるのをやめたのだ。

それから1900は誰とも口を利かず、何日も姿を見せなかった。彼なりに気持ちの整理をつけようとしていた。船内のバーでマックスが呑んでいると、1900がやっと姿を見せに来た。「もう大丈夫だよ」そう言う彼は、いつも通りの彼に戻っていた

 

マックスは6年間船で働き、1933年8月21日に退職した。船を降り、海の暮らしに終止符を打った。

それから1900の噂を聞くことは無かったが、マックスは大戦中も忘れることはなかった。

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中古楽器店での運命の出会い

時間は経ちマックスは、トランペットを中古楽器店に売りに来ていた。売る時に「あんたは今、音楽史の1ページを買ったんだ。最後にもう一度吹かせてくれないか?」と店主にお願いし吹かせてもらう。その音楽を聴いた店主が一枚のレコードを取り出し、「この音楽と同じじゃないか?なんという曲名なんだ?この素晴らしいピアニストは誰だ?」と言ってきた。

マックスは「曲名はない。幸運にも聞けたのは数人だけだから。この世には存在しない人だ。俺の胸にしまっておく。なぜレコードを持っている?」と聞く。

店主は、買い取った中古ピアノの中に入っていたのを繋ぎ合わせたという。

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船と共に去りぬ

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ヴァージニアン号は(老朽化のせいだろうか?)ダイナマイトで爆破されようとしていた。マックスは「まだ親友が一人乗っている!」と言って止めようとする。その親友とは1900のことだ。

マックスの呼びかけで、爆破は中止になり船内を散策する許可が下りた。

船内を探し回るが一向に見当たらない。船内は明日の正午には爆破させるという。

それを知ったマックスは、深夜、中古楽器店に窓ガラスを割って忍び込み、1900のレコードを盗もうとしていた。そこを銃を持った店主に見つかり殺されかけるが、「俺だ」と名乗り何とか殺されずに済む。

 

ついに船が爆破される時間になるが、マックスは諦めずに探していた。

船内でレコードを鳴らし、1900が現れるのをただただ待っていた。いくら待てど反応が無いので帰ろうとしたその時、物陰に潜む1900をようやく見つける。

「やあ、コーン。まっすぐ歩けないのか?」と初めて会った時と同じ文句で1900は声をかてきた。

マックスは「あれからどうしていた?」と聞く。

1900は「ダンスを踊る者はいなくなり、爆弾が落ちたが、ピアノをずっと弾いていた。マックス、トランペットはどうした?」

マックスは「お前と音楽をやりたい。船を降りて、一緒にバンドをやろう。人生出発点に戻らなければならないときがある。もしも話すべきいい話があって、それを聞いてくれる相手があれば人生捨てたもんじゃない。お前には話す話がたくさんあるじゃないか。君の音楽を聴きたがる。保証する」

 

1900はこう答える。

「都会は終わりがなかった。どこまでも果てしなく続いてる。教えてくれ、都会はどこまで続いてる?

階段を降りるまでは大丈夫だった。でも降りられなかった。問題は、目に映ったものじゃなくて、見えないものだ。

分かるか?あの巨大な都会、都会には何でもあるが、終わりだけはない。物事には終わりがあるが、都会は違う。

ピアノは違う。初めの音、終わりの音だ。鍵盤は88と決まっている。ピアノの鍵盤には限りがある。ただ紡ぎだす人間には、曲には限りがない。そこがいい。

無限の数がある鍵盤で人間は演奏できない。人間は弾けない。それは神のピアノだ。

都会にはいたるところに道がある。その中から、どうやって一つだけ道を選べばいいんだ?一人の女、一つの家、死に方、風景、自分のものといえる土地を選べ。そんなあり過ぎる中から全部自分が選ばなきゃならないなんて、考えただけで頭が破裂しそうにならないか?

選択肢がありすぎる。

僕はこの船で生まれた。世界がここを通り過ぎている。一日に2000人だ。

もちろん僕にも夢はあった。でもそれはこの船の中でこそ見る夢だ。

みんな幸せという夢を見る。だが人生というピアノは無限じゃないんだ。

そういう生き方を僕は学んできた。陸地?僕には少し広すぎる世界だ。僕には美しすぎる女性、長すぎる船旅、きつすぎる香りだ。そういうのは僕には奏でられない。

それならば、人生を降りるしかないだろう。それに僕は存在しない人間だし。

君は例外だ。君だけが僕の存在を知っている、どうか許してくれ。僕は船を降りない」 

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マックスはそれを聞いて、泣いていた。1900を尊重して、彼を無理やり外に出さないと決めたのだ。

1900は続けてこう言った。

「マックス、僕が天国の門に行っても、死んだ人リストに名前は載ってないだろうな。門番が「難破かね?」いや、なんと6トン半のダイナマイトでドカーン!ただ左腕が爆発の時に吹き飛んでしまって。門番が「在庫は右腕2本だけだ、悪いが右腕だけで我慢してくれ。」考えてみれば無いよりは右腕2本あったほうがいいな。だが、どうやって十字を切ればいい?右腕2本だとどんな音が出るかな、天国にピアノがあるといいな。」そう笑って、別れを告げた。

そうして爆破される瞬間まで、1900は空気のピアノを奏でていた。彼の頭の中では音楽が鳴っていた。彼が上を見上げ、微笑んだ。

―その瞬間、船は爆発した。

 

 

マックスは中古楽器店の店主に向かって「あんたなら、どうした?」と聞いた。

店主は「やはり何もできずに打ちのめされるだろうな。だが、誰が割れたレコードをピアノの中に隠した?」隠したのはマックスだった。

「なら、あなたは何もできなかったわけじゃない。トランペットを持っていけ。あんたには必要だろう。いい話を聞かせてもらったお礼だ。」

店主からトランペットを受け取り、マックスは何度も「ありがとう」と言った。

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おわりに

あの海の上の街を降りたのが正しかったのか俺にはわからない。仕事という面からじゃない。ああいう友達、本当の親友には二度と出会えない。陸に上がって生きていく。もはや海上音楽が聞こえることはなくなった。だが、彼はいつもこう言っていた。話すべき良い話があって、それを聞いてくれる誰かがいるなら人生終わりじゃないって。

ところがだ、俺の話を信じてくれる者はあまりいない。

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まとめ

割れた一枚のレコードが時を超えて、人と人を繋ぎ、歴史を繋ぎ、感動を紡ぐ。

1900は天才的なピアノの才能を持っていた。

絶対音感を持っていたし、彼の音楽は全ての人々を魅了した。

 

映画の最後に1900が船を降りない理由を明かす。それは「都会では選択肢が多すぎて何を選べばいいのか分からない。僕にはそんな人生は奏でられない」と言って船と共に爆発する道を選ぶ。その意見を尊重したマックスが素晴らしいと思う。マックスは自分が無力だと嘆くが、何もできなかったわけじゃない。

 

マックスしか1900の傍にいてやれないし、話も聞けなかった。マックスだけが1900の話を他の人に出来る。マックスにしかできないことを彼はちゃんと果たしたんだ。そして、1900もマックスが会いに来てくれて本当に嬉しかったんだと思う。誰にも存在を知られず、忘れられるというのはどれほど孤独なことなんだろう。けれど、死ぬ前にマックスが会いに来てくれた。だから、最後はしごを登って去っていくマックスの後姿を見て、何度も何度も声をかけたんじゃないのかな?

 

海の上のピアニストは船から降りられなかったんじゃない。

彼自身が船から降りないと決断したんだ。

1900の生き方に納得する、しないはあなたにお任せする。

ただ私がもし彼の親友だとしたら、彼の決断に心から敬意を表するだろう。

 

 

おまけ

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作中の音楽は「エンニオ・モリコーネ」が作曲しています。

1900役のティム・ロスは、頑張って演技しているだけのようです!

ジェリー役のクラレンスは、演技ではなく本当に弾いてますよー!

 

 

映画情報

監督「ジュゼッペ・トルナトーレ

時間「2時間5分」

公開日「1998/10/28」