「プラダを着た悪魔」
今回は「プラダを着た悪魔」です!
さっそくレビューしていきます!
手っ取り早く見たい方は、「STORY」と「まとめ」に飛んでください。
<STORY>
ジャーナリスト志望のアンドレアはその夢に近づくため、ランウェイ編集長ミランダの下で一年働くと決意する。第二アシスタントとしてむちゃぶりな仕事もこなす中、ミランダに要領の良いその仕事ぶりを買われ、第一アシスタントに昇進する。仕事がうまくいくにつれ、私生活はうまくいかなくなり恋人のネイトに別れを告げられてしまう。アンドレアはミランダのような人生は歩みたくないと悟り、自分の信念を裏切るのはやめようと決意する。ランウェイをやめ、自分が本当にやりたい仕事(=自分に嘘をつかない道)を選び、別れたネイトとも復縁する。
<主な登場人物>
アンドレアの彼氏「ネイト」(エイドリアン・グレニアー)
第1アシスタント「エミリー・チャールトン」(エミリー・ブラント)
ランウェイ編集長「ミランダ・プリーストリー」(メリル・ストリープ)
ランウェイで働くセンス抜群の「ナイジェル」(スタンリー・トゥッチ)
著名人「クリスチャン・トンプソン」(サイモン・ベイカー)
<チャプター>
雑誌ランウェイ編集部の面接を受ける
アンドレアはジャーナリスト志望でNYに来ていた。履歴書を送ったイライアス=クラーク出版社から連絡がくる。「ファッション誌 ランウェイ」編集部か車雑誌かどちらかを選ばねばならず、興味はなかったがランウェイ編集部の面接を受けることにした。
ランウェイ編集長を務めるのは、ミランダ・プリーストリーという超仕事ができる超大物女性だった。しかも予測不可能でも有名。ミランダは前のアシスタントを2週間で2人辞めさせている。厳しいが、ミランダの下で1年働けばどんなところにも通用するといわれていた。
面接当日。アンドレアのファッションセンスは全くゼロで、ミランダの眼中に入らず即終了する。しかしアンドレアは「物覚えも早いし、絶対頑張ります」と食い下がった。ミランダがアンドレアの可能性を感じ、第二アシスタントとして採用されることになる。
初日から予測不可能な命令の嵐
朝の6:15、ベッドで寝ていたアンドレアの電話が鳴る。第一アシスタントのエミリーからだった。電話で矢継ぎ早に指示を出され、てんてこまいになるが、なんとかアンドレアはこなしていく。
ファッションセンスもなく同僚に「あの服何なの?」「おばあちゃんのお古よ」とバカにされてしまう。アンドレアは「ファッションの仕事をずっと続けるつもりはないから、ファッションを変える必要はない」と自分を曲げなかった。
↑第一アシスタントのエミリー。
各担当の撮影プランをミランダがチェックする「ラン・スルー」
ミランダがドレスにつけるベルトを選んでいるときに、アンドレアはつい笑ってしまう。
ミランダが「何か可笑しい?」と聞いたのに対して、アンドレアは「こんなのは私には初めてで。私にはその二本のベルトが同じに見えます。」と答えた。
するとミランダはこう言い放つ。
「クローゼットからその冴えないブルーのニットを選んで、自分は着るものなんか気にしない真面目な人間ですってアピールしてるんですものね。でもそれはブルーじゃない。ターコイズでもラピスでもない。セルリアン(空色)よ。2002年にオスカー・デ・ラ・レンタがその色のソワレを発表して、イヴ・サンローランがミリタリージャケットを発表した。たちまちブームになり国中のデパートで販売され、徐々にに安いカジュアル服店にも売られ、あなたがバーゲンで購入した。つまり、そのブルーは巨大市場と無数の労働の象徴というわけ。皮肉なものよね。あなたがファッションとは無関係と思って選んだそのセーターが、実際はそもそもここにいる私たちが、“こんなもの“の山から選んだものよ。」
アンドレアの愚痴
無茶な仕事の要求が多く、アンドレアは恋人のネイトに愚痴をこぼす。「ミランダは周りの人を不愉快にしないと満足しないのよ」
だが、ジャーナリストになるための大事なステップとして、この仕事を1年間は我慢すると言い切る。
ダサいアンドレアが雇われた理由
アンドレアが久しぶりにお父さんとレストランで夕食をしている時に、ミランダからの電話が鳴った。ミランダは仕事でマイアミに行っていたが、帰りのフライトが悪天候で中止になったと言う。「明日の朝、双子の娘たちの演奏会に出たいから、何とか私を家に返してちょうだい」という無理難題だった。
アンドレアはあらゆる空港に電話をかけるが、どこも飛ばない。
結局ミランダは家に帰ることができず、演奏会を見ることは出来なかった。
「なぜ、あなたを雇ったと思う?いつもは同じタイプの子を雇うの。オシャレで細身でランウェイの崇拝者。でもそういう子には失望させられる、バカが多いのよ。だからあなたの素晴らしい履歴書と、仕事に対する立派なスピーチを聞いてこの子は違うと感じたの。自分に言ったわ「賭けてみろ」と。リスクを承知で雇うのよ、利口で太った子を。期待した。望みを託したのに。とにかくあなたには失望したわ。他のどんな子よりもね。以上よ」
アンドレアの大変身
アンドレアはナイジェルに愚痴をこぼしていた。
「私がちゃんとやっても認めてくれないし。お礼さえ言ってくれないのに、失敗したときはまるで悪魔。私はただ必死に努力しているところを認めてほしいの。」
それに対してナイジェルは喝を入れる。
「アンディ、君は努力していない。ただ愚痴を並べているだけだ。私にどうしてほしい?ミランダにいじめられてかわいそうにと慰めてほしいのか?目を覚ませサイズ6。彼女は仕事をしているだけだ。ランウェイはただの雑誌じゃない。輝かしい希望の光なんだよ。君はいかに多くの伝説がここを歩いたか知らないし、関心さえない。みんなが命をなげうってでも働きたい職場で、君は働いてくださってるんだもんな。そして、褒めてくれないと嘆く。宿題を見せても、額にキスしてくれないとね。甘ったれるんじゃない。」
それを聞いてアンドレアは目覚めようとしていた。
「私がだめにしてるのね。でも、どうしたらいいの。・・・そうだわ!ナイジェルお願いがあるの!」アンドレアは自分をトータルコーディネートしてもらえないか頼み込んだ。
D&G、ジミー・チュウ、マノロ・ブラニク、ナンシー・ゴンザレス、ナルシソ・ロドリゲス、シャネル。
有名ブランドを身にまとい、センスも格段に上がったアンドレアは、同僚やミランダにも一目置かれる存在になっていく。ファッションだけではなく、ランウェイの特集にも積極的に注目し勉強するようになる。
どのファッションも素敵ですよね。何年たってもオシャレに見えちゃいます。
著名人「クリスチャン・トンプソン」との出会い
ミランダの代理でジェイムズ・ホルトに会いに行くことになったアンドレア。その場所で、偶然に憧れの「クリスチャン・トンプソン」に出会う。クリスチャンに「書いた文章を送ってくれ」と言われるが、今はミランダのアシスタントをしているから、とせっかくのチャンスを断ってしまう。
ミランダの家で起こした過ち
アンドレアはミランダの指示を先読みして、言われる前に仕事をこなすようになっていた。そして、ミランダの家にランウェイを届ける役目を任される。第一アシスタントのエミリーから、家に入るときの注意事項を聞いていたにもかかわらず、登ってはいけない家の階段に上ってしまう。そこをミランダに見られてしまい、翌日呼び出される。
ミランダの命令
アンドレアは、双子の娘のためにハリーポッターの新作を手に入れて来いと命令される。「出版前の原稿を4時間後の15時までに用意してほしい。15時までに原稿を手にできなければ、あなたは戻ってこなくていいわ」と言われてしまう。
アンドレアはあらゆる出版社に電話をかけたが、取り入ってもらえない。その時、クリスチャンにお願いするのを思いつく。クリスチャンの友人の友人が装丁家で原稿を持っていたため、運よく原稿を手に入れることができた。その原稿を3部コピーして2つは双子に届け、1つはミランダに予備として持っていく。
ミランダは要領が良すぎるアンドレアに驚き、思わず目を見張ってしまう。
パリコレクションに同行してほしいと告げられる
本当は第一アシスタントのエミリーが行くはずだったパリコレクション(以下パリコレ)。
しかしミランダの中ではもう、アンドレアが第一アシスタントで、エミリーは第二アシスタントに降格していた。
アンドレアは、エミリーにパリに同行するのが自分になったと告げる。当然エミリーは悲しみとストレスで暴言を吐いてしまう。「ずっとファッションに興味なしって顔しといて、ジャーナリストが夢だなんて言っといて、そんなの嘘じゃない。認めたら?あなたは初めてジミー・チュウを履いた日に魂を売ったって。私が一番ムカつくのはそういうとこよ。あなたが着させてもらえる服だってあなたが着る資格はない!炭水化物を食べる人なんだから!不公平だわ。出てって、さっさと消えて!」と言われてしまう。
アンドレアとネイトの別れ
アンドレアはクリスチャンと一緒にいる所を、親友のリリーに見られてしまう。
「私が知ってるアンディはネイトを本気で愛してた。なのにあなたは誰?ゴージャスな服を着て、影では火遊びする女?知らない人よ。」そう言い捨てられてしまう。
精神的にもファッションもすっかり変わってしまったアンドレアに、友人や恋人のネイトは耐えられなくなっていた。
ネイトにも「昔の君はランウェイに出る女をバカにしていた。なのに今じゃ君もその一人だ。そこを認めたら、お互いに共通点がなくなる。気づいてないかもしれないけど、君が付き合ってるのは“電話で呼ばれたらすぐに出るその相手だ”」という理由で別れを告げられてしまう。
パリコレクション当日
ミランダの第一アシスタントしての仕事もバッチリこなし、パリコレは無事に終了する。
その日の夜、ミランダから「夫と離婚をするかもしれない」と告白される。
マスコミやゴシップ欄で騒がれ、娘たちに被害が加わることを恐れていた。ミランダが初めて見せた弱みだった。
アンドレアが「何か私にできることは?」と聞くと、ミランダは「仕事をして」と答える。
↑パリコレのランウェイ
↑スッピンで泣くミランダ
アンドレアの勇気ある決断
ミランダの後任でジャクリーヌ・フォレが編集長になると噂がたっていたが、ミランダの根回しで解任は免れた。
ミランダは「私以外にこの仕事をこなせる人はいない。ジャクリーヌは無理。ほかの人間では仕事が回らず、雑誌の質が低落するのが関の山」と言っている。
そして、アンドレアに対してこう続ける。
「あなたは私によく似てるわ。人が何を求め必要としているか。それを超えて自分のために決断できる人よ。エミリーを裏切ったのは、あなたが決めたことよ。先に進もうとね。この世界で生きるには必要な決断よ。」
アンドレアはこう言い返す。「けどもし、この世界を望んでなかったら?あなたのような生き方が嫌だったら?」
ミランダは「バカ言わないで。みんな望んでることよ。誰もが憧れてるの」と言い放つ。
それを聞いたアンドレアはミランダとは違う道を歩むと決断する。ミランダからの電話も無視し、携帯を噴水に投げ捨ててしまう。自分の生き方に嘘をつくのはやめ、本当に行きたい方向に向かうと決断した瞬間だった。
自分のやりたい事に背を向けない
以前のダサい服装に戻ったアンドレアは、別れたネイトに「今までのことを謝りたい」と会う約束をする。
アンドレアは、友達や家族に背中を向け、信念さえ裏切っていてごめん。とネイトに告白する。それを聞き、ネイトはアンドレアと復縁することになる。
アンドレアは新しい仕事の面接で、出版社に来ていた。
面接官にこう言われる。
「ランウェイで1年も経たずに辞めているが、どうして突然やめたのか気になって、ランウェイ編集部に電話をかけてみた。そしたらミランダから直にファックスが届いた。「今までのアシスタントで最も失望させられた。そしてアンドレアを雇わなかったら、大バカ者だとね。いい仕事をしたんだね。」
アンドレアは立ち止まらない。再び新しい道を歩みだす。ダサいファッションのまま、自分の信念を貫いて。
まとめ
アンドレアは機転がきくし、要領もすごく良い。ミランダのアシスタントとしてもぴったりだ。ただミランダからの電話は休日でもかまわずかかってくるし、その度に友達や家族、恋人との時間を犠牲にした。友達や家族はアンドレアを元いた世界に引き込もうとする。変わってしまったアンドレアに、ついていけなかったのだ。
私はこの時に周りの人間がもっと協力的でも良いと思った。なぜ引き込もうとするのかを知りたくて、アンドレアの友達や恋人の立場に立ってみた。「アンドレア、あなたはそれがしたい事じゃないはず。本当のあなたの気持ちに気づいて」と、こんな感じかな。
いや、ここまで他人が考えるだろうか?
やはり、精神的に離れていくアンドレアを引き込みたかったのではないだろうか?
自分が取り残されているような気さえして、寂しかったのではないだろうか?という気がしてならない。
ただアンドレアは、友達や家族が言っていた通り「自分は信念さえも曲げ嘘をついていた」と認める。ファッション業界の仕事は、本当にやりたい事ではないと気づいたのだ。本当にファッション業界で生きていきたいと思ったら、今までの関係を切り捨ててまた新たな関係が広がったのだろう。きっと有名なアシスタントとして一躍有名になってたかもね!
そんなアンドレアも私は好きだし、そういうアナザーストーリーもあったらぜひ観たいです!
女性だけではなく、男性も楽しめます!作中にはいろんな立場の人が出て、それぞれしっかりとした意見を持っています。誰がどんな事を言っているのか?なぜそう言っているのか?などに注目するのも楽しいですよ♬
おまけ
▽ミランダの予測不可能な命令
一番「んなむちゃな!」って思ったのがこちら。
「マディソンの店で見かけて、気に入ったテーブルを買っといて」
・・・いや、どれだよ!?
品番とか、こんな形でとかあるじゃん。せめて、写メっといて!?
▽ミランダは詩的でもある
アンドレアがバッグから書類を取り出そうとしているシーンで言うセリフ。
「氷河が流れるみたいにゆっくりしてるわね。鳥肌が立つわ。」
超仕事人ってことがビシビシ伝わってきます。
・・・監督、これ寒さと鳥肌かけてますか!?
以上!「プラダを着た悪魔」でした!
映画情報
監督「デイビッド・フランケル」
時間「1時間50分」
全国ロードショー「2006/6/18」