映画マニアによる映画レビューブログ

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映画レビュー「WAR HOUSE」(戦火の馬)

「WAR HOUSE」(戦火の馬)

 

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手っ取り早く知りたい方は「STORY」と「まとめ」に飛んでください

 

<STORY>

イギリスのある村に、貧乏に暮らす3人家族がいた。小作人の父「テッド」が大金をはたいて農耕作に向いていない馬サラブレッドを購入する。馬の名は「ジョーイ」と名付けられる。息子「アルバート」が手塩にかけ育て、ようやく畑を耕せる馬に成長させる。

その頃、イギリスとドイツの戦争(第一次世界大戦)が始まろうとしていた。ジョーイは戦争でフランスに連れて行かれることになり、アルバートの元を離れることとなる。ジョーイに様々な困難が立ちはだかるが、死ぬことなく運よく生き残った。戦争開始から4年後、兵士になったアルバートと感動の再会をする。

 

<主な登場人物>

父「テッド・ナラコット」(ピーター・マラン)

母「ローズ・ナラコット」(エミリー・ワトソン)

息子「アルバート・ナラコット」(ジェレミー・アーヴァイン)

馬「ジョーイ」

イギリス兵士「ジェームズ・ニコルズ大尉」(トム・ヒドルストン)

 

 

<チャプター>

貧乏人・父「テッド・ナラコット」が500万円で買ったもの

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物語は馬が競売にかけられているところから始まる。テッド・ナラコットは「20年競売に通って何一つ馬を買ったことがないドケチ」だった。

だがその日、運命の歯車は動き出していた。テッドは「今日は人生を決める大事な日になるかもしれない」といい、30ギニー(500万円)で一頭の馬を買う。足腰が強く筋肉質の立派な馬だった。テッドは「この馬が畑を耕し、富をもたらす」という大きなリターンに期待して馬に投資したのだ。馬は息子によって「ジョーイ」と名付けられる。

↑テッドのかわいい表情ゲットです。 

 

言うことを聞かないジョーイを銃殺しようとする

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テッドがジョーイに鋤(すき)を引かせる道具(ひき具)をつけようとするが、怖がって言うことを聞かない。聞き分けない馬にテッドは「役立たずの馬め!ひき具をつけないなら生かしておく価値はない」と銃で撃って殺そうとするが、妻とアルバートに止められる。

アルバートは「必ず畑を耕してみせるから僕らをみてて」と父に約束する。

※鋤(すき)とは、畑の土を深く掘り起こす道具のこと。馬にそれを引っ張ってもらうことで、簡単に畑を耕すことができる。

 

 

息子「アルバート」が出した勇気

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アルバートジョーイの畑改造が始まった。全く鋤を引けるようにならない馬を見ものにしようと、村中の人たちが畑に集まった。みんなが「不可能だ。無理に決まっている。結局失敗する。」そう思っていた。ただ一人アルバートを除いて。

アルバートは決して諦めなかった。雨が降り出しぬかるんだ畑をチャンスと捉え「俺たちなら絶対できる。人間の事情はわからないだろうが、家族の運命がお前にかかってるんだ。だからまっすぐ鋤をひけ、まっすぐ!!」とジョーイにお願いする。

それに答えるようにジョーイはまっすぐ歩き始める。見事、ぬかるんだ地面に鋤がつきささり、耕すことに成功する。村の人みんなが驚いた。不可能だと思い込んでいたことが、諦めない力によって成し遂げたのだ。

 

 

神対応のニコルズ大尉

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農業祭当日、アルバートジョーイを迎えに馬小屋へ行くがジョーイの姿がない。その時ジョーイは、戦争に赴く馬として500万円で売られたところだった。アルバートジョーイとともに戦地に行くとニコルズ大尉に志願したが、年齢制限により無理だった。19歳では若すぎた。アルバートジョーイの深い絆を理解したニコルズ大尉が「ジョーイを私が乗る馬として貸してくれ。君がやってきたように大切に扱うよ。ジョーイを尊重し、君がしたように世話をして、できればまた君のもとに返す」と約束を交わす。泣く泣くアルバートジョーイに別れを告げることとなる。

そしてドイツ軍との戦争が始まる。イギリス中に戦争を告げる鐘が響き渡る。

 

ニコルズ大尉の戦死後、ジョーイは各地を点々とする

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ドイツ軍に奇襲攻撃をしかけようとしたイギリス軍だったが、惨敗してしまう。ニコルズ大尉は戦死するが、ジョーイは殺されずに生き残っていた。敵ドイツ軍の大砲を引く馬として利用されようとしていた。

だが、ドイツ兵の二人の兄弟によりジョーイともう一頭の馬が風車小屋に連れ出される。兄弟は上官たちに見つかり、反逆罪として銃殺されるが、運良く馬は見つからなかった。

風車小屋の近くに住むフランス人の「エミリー」という名の女の子に見つかる。エミリーは両親を亡くしておりおじいさんと暮らしていた。

おじいさんはエミリーにこう言っている。「戦う事だけが勇敢な行いではないんだ。伝書バトは国に帰って状況を伝えるため、戦地の上を行かねばならない。苦しみと恐怖の上を、絶対に下を見ることなんてできない。前を向いていないと国には戻れない。それ以上勇敢なことってあるか?」

エミリーの家で飼われることになったジョーイだったが、またドイツ兵に見つかり軍隊に引き戻されてしまう。ジョーイは大砲を引く馬として、人間により酷使させられる。丘まで運び込まれた大砲は、イギリス兵に向けて砲撃された。皮肉なことに、その中にはイギリス兵となったアルバートも居たのである。

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中間地点の勇者、現る

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※ニヤッとしてる彼が勇者です(←私個人的に)

ジョーイはドイツ軍から開放され、自由の身となった。身の危険を感じたジョーイは戦地の中を走った。エミリーのおじいさんが言っていたあの伝書バトのように、ただひたすらに。途中で有刺鉄線に絡まり身動きがとれなくなってしまったところをイギリス兵に見つかる。「あそこに馬がいるぞ、助けてくる。」と勇気ある一人の兵隊によってジョーイは助けられる。ジョーイがいた場所は敵陣地(ドイツ軍)と自陣(イギリス軍)の中間地点。殺されるかもしれない危険と隣り合わせの中、助けに行ったのである。私はこの勇気ある兵隊こそ、称えられるべきだと思ってやまない。

 

ジョーイ、イギリス軍に帰還

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イギリス軍に戻ったジョーイだったが破傷風を患っていたため、軍曹によって射殺されようとしていた、まさにその時。医療テントにいたアルバートが「中間地点で生き残った奇跡の馬がいる」と知り、指笛で呼ぶ。アルバートは毒ガスにより一時目が見えなくなっていたが、ジョーイの特徴をピタリと言い当てる。

軍曹が「共に戦った戦士だ。同じように破傷風の治療をしよう。」とジョーイも治療をしてもらえることになった。

 

開始から4年戦争が終結。イギリス軍が勝利する

イギリス中にあの鐘が再び響き渡る。

アルバートと再会したジョーイだったが、競りにかけられることになった。

競売当日、100ポンドでエミリーのおじいさんが落札する。「中間地点で生き残った奇跡の馬」がいると知り、エミリーにどうしても買っていってやりたかったのだ。

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しかし、ジョーイがアルバートの元を離れたがらない。ジョーイも別れるのが辛いのだ。おじいさんはアルバートジョーイの絆の太さを感じ、ジョーイを無償で譲ってあげることにする。おじいさん、良い人!!!

アルバートジョーイは揃って家に帰ることができた。家ではローズと畑仕事をしていたテッドが、その帰りを待っていた。

戦争から無事に帰ってきたアルバートを両親はしっかりと抱きしめる。美しい夕日があたたかい眼差しのように家族を包んでいく。

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まとめ

戦争メインではなく、馬と人の絆、馬同士の絆、人同士の絆、そして勇気がメインの映画です。映画のあちこちに勇気を出すところが、ちりばめられています。

戦争映画のような激闘シーンはないので、そういうのを求めている人にはおすすめしません。

他者がどんなに反対して、馬鹿だと不可能だと言われても、アルバートやテッドのように、信念を曲げず意思を貫く勇気と情熱があってもいいと思いました。

テッドが馬の本質を見抜いたのが幸運でした。本質を見抜いて買ったから、戦争で失うことなくまた戻ってきてくれました。きっとまた畑を耕し、家族に収益をもたらすでしょう。

もし買ったのがあの馬じゃなく別の馬だったら、戦争に連れていかれ戦死していたかもしれません。投資金額は大きかったが、あの馬以上のリターンはなかったかもしれない。だからあの時、ジョーイを買おうと決断したテッドはすごいと思うんです。

20年間、競売で培った目は節穴じゃなかったんですね。かっこいいです

 

おまけ

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 ▽妻の深い愛情

順調に育ったカブだったが収穫目前で豪雨によって全滅するシーンがある。私も農家出身だからその辛さがわかる。しかもこの家族にはこの収入にしか頼れるものがない。その収入源がすべて流されてしまったのだ。

テッドは妻に「不運な目に遭い愛想をつかすだろう」と言う。それに対して妻は「腹が立つことはあっても、愛は変わらないわ」と深い愛情をみせる。

 

▽馬の演技が凄すぎる

馬って人みたいにちゃんと演技するんですねー!

怒ったように地面を踏みしめたり、倒れたり、馬同士が鼻先を合わせて愛おしそうにしたり。

びっくりしました。まだまだ知らないことだらけですね。これだから、映画はやめられない!

 

▽エミリー役のセリーヌ・バケンズが可愛すぎる

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とても可愛いですよね。かなりタイプです。

 

▽映画「イミテーション・ゲーム」の主人公役であるベネディクト・カンバーバッチが脇役で出演している

これも個人的な興味なんですが。ベネディクト氏は2015年公開の「イミテーション・ゲーム」で天才数学者を演じています。彼の演じる役は冷静で聡明さがありますね。イミテーション・ゲームを演じる前は、こういう脇役にも出ていたんですね~。今後も活躍を期待しています!

戦火の馬では「ジェイミー・スチュワート少佐」役で登場。

 

以上!「WAR HOUSE」(戦火の馬)でした!

 

映画情報

監督「スティーヴン・スピルバーグ

時間「2時間26分」

全国ロードショー「2012/3/2」